はじめに
高齢者の排尿障害は、日常生活活動を制限し、精神的負担も増加するためQOLを低下させる一因となっていますが、高齢者の排尿管理に関しては、必ずしも適切な排尿管理がなされているとは限りません。
当科外来へは排尿についてお困りの患者様を数多くご紹介いただき評価、治療を行なっています。また、院内では排尿ケアチームを中心に適切な排尿ケアを継続しています。しかし、当科での加療後に病状が安定し、通院困難等の理由でかかりつけ医での治療継続を希望する患者様や、入院中に排尿ケアチームの介入により排尿状況が改善し、退院後にかかりつけ医や他の医療施設での加療継続、経過観察をお願いする患者様も少なくありません。
このような理由から、泌尿器以外の先生方や在宅の介護者、特別養護老人施設等で介護に従事している方々にも、排尿管理を行なう際の参考にしていただけるよう、また連携パスのツールとして活用いただけるようにとの思いから、「高齢者の排尿障害に関する地域連携パス」診療マニュアル、ならびに「排尿管理手帳」を作成致しました。
これらは、当院への紹介を積極的に促す目的では決してありません。このような活動を当院から発信することで、将来的には泌尿器科病診連携が広く行なわれることが望ましいと考えております。
「排尿管理手帳」は泌尿器科専門医から治療の継続を依頼された際に、経過観察のためのひとつのツールとしてもお役立ていただければと考えています。また、入院、入所中の患者様で排尿に関してお困りの際には、ご遠慮なく近隣の泌尿器科にご相談いただければ幸いです。
マニュアル等のご活用のメリット
1. 排尿障害に悩む高齢者が、わざわざ泌尿器科を受診しなくても、かかりつけ医の先生に診てもらえるという選択肢が増えます。
2. 泌尿器科専門医とクリニックや病院、老人保健施設等での病診連携が円滑に進むことが期待できると思います。
排尿障害に関わる連携マニュアル等について
マニュアル等は閲覧、ダウンロード可能としました。排尿管理手帳については、実物は手帳サイズ(B5)となっておりそのままご使用いただけませんが、内容に関してはご参考いただければと思います。