検査項目の意義

検査項目の意義

身体計測

肥満は糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓病、脳卒中などの成人病をはじめ、様々な疾患を引き起こす可能性があります。最大の原因はカロリーの過剰摂取であることはいうまでもなく、バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、標準体重に少しでも近づくことが大切です。
健康診断成績表での肥満度は標準体重と比較して判定するほか、BMIの数値からも判定します。
なお、標準体重とBMIのもとめ方は以下の通りです。

●標準体重=身長(m)× 身長(m)×22
●BMI=体重(kg)÷身長(m)×身長(m)
基準値:18.5~25未満
●胸囲 基準値は男性85cm未満・女性90cm未満

血圧

血圧の基準値は最高130mmHg以下、最低85 mmHg以下でメタボリックシンドロームのリスクのひとつです。
インスリン抵抗性が高まると、悪いホルモンにより血圧が上昇します。数値は測定時の緊張の状態や疲労の程度によって変化しますので、1回の測定で高血圧と判定される結果がでた場合は、後日、数回測定し、高血圧かどうかを見きわめる必要があります。
高血圧であると判定された方はカロリー、塩分、アルコールの摂取を控えた規則正しい生活をするようにし、定期的に血圧検査を受けましょう。高血圧を放置すると動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中など重大な疾患を引き起こす危険性が高まります。

脂質

脂質の基準値は総コレステロール130~199mg/dl、LDL-C120mg/dl未満、中性脂肪150未満、HDL-C40以上でメタボリックシンドロームのリスクのひとつです。
血 液中の脂質が高いと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など重大な疾患を引き起こす危険性が高まります。コレステロール値が高い方は動物性脂肪の摂取を、 中性脂肪値が高い方はアルコールや糖質の摂取を控えるようにしましょう。また、肥満と喫煙は心臓病や脳卒中の危険性をさらに高めますので充分にご注意くだ さい。

糖代謝

糖 代謝の基準値は血糖100mg/dl未満でメタボリックシンドロームのリスクのひとつです。内蔵脂肪がたまるとインスリン抵抗性が高まり、インスリンの効 きが悪くなります。その結果、血糖値が上昇します。血糖値が少々高く標準体重を超える方は、カロリー制限と適度な運動で減量に努めるようにしましょう。
要精密検査となった方は医療機関で受診するようにしましょう。糖尿病を放置すると動脈硬化が進行し、心臓病、脳卒中、腎臓病など重大な疾患を引き起こす危険性が高まるほか、失明することもあります。

肝機能

肝 機能の基準値はGOT.GPT35以下、γ-GTP50以下です。脂肪肝になると肝細胞が障害され、肝細胞内のAST、ALTが血液中に流れ出します。肝 臓は自覚症状があらわれにくく、いつの間にか機能に異常をきたしていることが多々あり、原因としてウイルス性もしくはアルコール性の肝炎、肝硬変、脂肪 肝、肝腫瘍などが挙げられます。
軽度の異常や脂肪肝が見つかった方は肥満とアルコールの過剰摂取に注意し、年に2回程度の検査を受けるようにしま しょう。肥満はカロリー制限と適度な運動で解消し、アルコールは1日に1~1.5合まで、週に2日程度の休肝日を設けてください。また、要精密検査となっ た方は医療機関で受診するようにしましょう。

尿酸

尿酸の基準値は7.0mg/dl以下です。内蔵脂肪蓄積によってインスリン抵抗性が高まると、肝臓からの尿酸排泄が抑制され、尿酸値が上昇します。
尿 酸は蛋白代謝産物で、血中の尿酸値が上昇する状態を高尿酸血症といいます。この高尿酸血症は動脈硬化を進行させ、痛風発作を引き起こす危険性があるので、 動物性蛋白の摂取を減らすとともに、定期的に検査を受けるようにしましょう。また、肥満の方はカロリー制限と適度な運動によって減量し、標準体重に少しで も近づくようにしましょう。アルコールの過剰摂取にもご注意ください。

血液検査

赤 血球数、血色素、ヘマトクリットは貧血で減少します。要精密検査となった方は原因の疾患を診断する必要があります。原因の疾患としてがん、胃・十二指腸潰 瘍、鉄欠乏性貧血、痔、女性の場合は婦人科疾患が挙げられます。白血球数は感染・炎症や喫煙のほか、まれですが白血病で増加します。白血球が減少すると感 染に対する抵抗力が弱くなり、血小板が減少すると出血しやすくなったり、止血しにくくなります。いずれにしても要精密検査となった方は医療機関を受診する ようにしましょう。貧血の方はバランスがとれた食事を3食しっかり摂り、レバー、貝類、豆腐などをビタミンCとともに加えてください。白血球が多く喫煙を される方は禁煙し、心臓病の予防に心がけてください。

検尿

尿蛋白、尿潜血の検査は腎臓および尿路の異常を調べるものです。原因の疾患として腎炎、膀胱炎、尿路結石、ネフローゼ症候群、がんなどが挙げられます。運動後や女性の場合は月経による異常もありますが、要精密検査となった方は医療機関を受診するようにしましょう。

検便

便潜血の検査は胃や腸からの出血を調べるものです。原因の疾患として胃・十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、大腸がん、痔などが挙げられます。
要精密検査となった方は医療機関で、S状結腸内視鏡検査、注腸検査、全大腸内視鏡検査など、消化管の精密検査を受けるようにしましょう。

心電図

最近、増加傾向にある心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、不整脈などは、放置すると突然死を引き起こす危険性があります。
要精密検査となった方は、医療機関で運動負荷心電図、24時間ホルター心電図、心臓超音波検査などの精密検査を受けるようにしましょう。異常がなかった方でも胸痛や胸背部圧迫感など自覚症状がある場合は、同じく精密検査を受けることをおすすめします。

胸部X線検査

胸部にX線を照射して、肺をはじめとする呼吸器や心臓を透過像としてフィルムに映し出してチェックします。発見される病気として、肺がんなどの悪性腫瘍、結核、肺炎などがあります。
「要精密検査」となった方は、肺または心臓、血管系の再検査または精密検査(胸部CT検査など)が必要です。病状がなくても放置せず、必ず受診してください。

胃部X線検査

上部消化管(食道、胃、十二指腸)に病気がないか、バリュウムを飲んで調べる検査です。
要精密検査となった方は医療機関で胃内視鏡検査を受け、潰瘍やがんの有無を診断する必要があります。まれなケースではありますが、精密検査を受けずに放置すると手遅れとなる場合がありますので、必ず受診するようにしましょう。

腹部超音波検査

肝臓、腎臓、胆のうなど腹部の臓器を超音波で観察し、腫瘍、ポリープ、結石などの有無を診断します。
要精密検査もしくは要治療判定となった方は、外科担当医や総合判定の指示に従って、腹部CT検査などを受けるようにしましょう。